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記憶のメカニズムはこうなっている
ワーキング・メモリーは一時的な記憶だと述べた。速読と記憶の関係への理解を深めていただくためにも、ここで記憶のシステムについて言及しておこう。
記憶は脳内に張り巡らされた神経の回路(ネットワーク)である。人は学習を通じて新たな知識を得る。その結果、脳内に新しい回路が作られる。新しい回路(記憶)作りの手助けをするのが、シナプスだ。
大脳皮質の神経細胞は、人で約百四十億個、チンパンジーで約八十億個。前に示したように、独特の突起状の形をしている。突起の中には軸策と呼ばれる長い部位が存在する。神経細胞は大きさや形態など各々に違いがあり、そのままでは結合できない。したがって、神経細胞はアンテナのように突起を長く伸ばし、他の細胞と連絡を取り合っている。
軸策は、神経細胞を結ぶ「パイプ」の役割を担っている。軸策が神経細胞と接続する部分がシナプスだ。神経細胞一個あたり五千から一万個のシナプスがあると言われている。つまり、神経細胞は単体で存在しているのではなく、五千から一万もの神経細胞と連結しているのだ。
脳内での情報伝達は、神経細胞を通じて行なわれる。記憶もまた、幾多もの神経細胞を経由して脳内を行き来している。学習によって脳内に新たな回路ができるとき、シナプスに生理学的変化が起こる。記憶にはいくつかの種類があるが、脳内に生じる生理学的な変化は、基本的には同じとされている。
できあがったばかりの回路は非常に不安定で、何かの拍子に消えてしまう。だが、シナプスに効果的な刺激を与え続ければ、やがて回路は安定する。安定した回路は、記憶として神経細胞に定着する。外界から得た情報は、このようなメカニズムによって心内辞書の新たな項目の一つ(記憶)となるのだ。このようにシナプスの働きなしには、新たな回路(記憶)が構築されることはない。その意味において、シナプスは記憶システムの根幹を担っているといえる。
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