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記憶はアイディアの宝庫
では、どうすれば「発想力」が身につくのか。そのカギは「記憶力」にある。
「記憶力」という言葉から、短絡的に学生時代の暗記学習を連想し首を傾げる人もいるかもしれない。既成の事柄を脳に叩き込む記憶力と新しいアイディアを生み出す発想力。一見すると、両者はまるで正反対の性質を持っているようにも思える。しかし、発想力と記憶力の関係に着目すれば、おのずとその謎が解けてくる。
ここで先の本田宗一郎の話に戻ろう。本田の類まれなる独創力の裏には苦しい努力があった事実を、あなたは知っているだろうか。
本田の夢は「世界一の自動車を創ること」だった。経営する会社は繁盛していたが、本田は夢をかなえるために、あえて賭けに打って出た。修理からピストン・リングの製造へ、本田は経営の転換を図ったのである。
新たなものを生み出すためには、まずは既成の理論を知ることからスタートする。自動車の主要部分であるピストン・リングを開発する際、本田は大学や研究所を数年かけて渡り歩き、基礎理論を学んだ。
いくら本田が天才的な技術者だといっても、その道は決して平坦ではなかった。ピストン・リングの開発が成功するまでに、本田は財産をほぼ使い果たし、倒産寸前にまで追い込まれた。
新しい技術を生み出すには、膨大な時間と資金が必要だったのである。本田は読書が苦手だったというから、数年間にわたる大学や研究所通いは、さぞ苦痛だったことだろう。
しかし、この努力の末に、本田はピストン・リングの大量生産に成功し、本田技術研究所の設立に漕ぎ着けた。「世界のホンダ」の原動力といえる本田の発想力は、基本理論をしっかり学んでこそのものである。
新しい発想は決して、無から突如として生じるものではない。基礎となる土壌があり、さまざまな工夫を凝らして、初めて芽生える性質のものだ。
この考え方は、あらゆる分野に当てはまる。足し算や掛け算の基礎があってこそ、因数分解も解ける。アルファベットを知らなければ、英文を読解することもかなわない。既成の事柄にとらわれていては、新たな発想はできない。だが、基本をなおざりにしては発展できない。独自の発想力を身につけるには、まず、基本をきちんと学び、脳内データを増やすことが大切なのである。
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