文字は《脳》で読んでいる
続いて、こちらの文字を読んでください。
さあ、この文字は何と読めますか。
恐らく大多数の人が、二つの英単語を見て、すぐに《THE CAT》と読むと思います。
しかし、もう一度、文字をじっくり眺めてみてください。改めて文字を観察すると、《THE》の《H》と《CAT》の《A》が、実は全く同じ形をしていることに気づきます。
つまり、私たちは同じ形の文字を《H》と《A》の異なるアルファベットとして判別したのです。
ならば、次の文字はどうでしょうか。
一見したところでは、アルファベットの《ABC》と読めます。
続いて、こちらも読んでみましょう。
今度は数字です。何の疑間もなく《12・13・14》と読めるはずです。
ここで、もう一度二つの文字を見比べてみましょう。実は、先ほどの《ABC》の《B》と、《12・13・14》の《13》は、全く同じ形をしています。よく見ると、アルファベットのBとも数字の13とも取れる、あいまいな文字だとわかります。
これも、私たち人間の目がよく起こす錯覚です。
最初の文字は、アルファベットのAとCにはさまれています。そのため、私たちは頭の中でアルファベットが並んでいるんだなと解釈し、真ん中の文字をBと読みます。
次の例も同様です。12と14にはさまれているため、私たちは真ん中の文字を13と読むのです。
こんな例もあります。ある空港のロビーに、たばこを禁止するポスターが貼ってありました。
ロビーを行き交う乗客はポスターを見て、たばこを吸いかけた手を引っ込めます。大勢の乗客が、ポスターの文字に何の疑問も持っていませんでした。
本当は、ポスターには「NO SMACKING(キスをするな)と書かれていたのです。それを誰もが「NO SMOKING(たばこ禁止)」だと思ってしまったのです。
この例からも、人間が文字を読むときには、単に目で見た形そのままで、とらえているのではない、ということがわかります。
私たちは《目》で見た文字を、文脈に応じて《脳》で理解しています。自分の語棄と照らし合わせながら、正しい読みかたを選んでいます。つまり、目で読むというより、脳で読んでいるのです。
作文を見直すときにも、自分では誤字や脱字になかなか気づかないものです。これも、私たちが目ではなく、脳で文字を読んでいるからと言えるでしょう。
自分で書いた作文なのだから、頭には内容がしっかり入っています。だから目が誤字・脱字をとらえたとしても、脳は自然と正しい文字に置きかえてしまいます。
このことからも読書の際に、人間は目で文字をとらえつつ、脳で意味を理解しているのだと、おわかりいただけたでしょう。
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