ゾウとネズミを同時にイメージ化しようとした場合、ゾウは大きすぎるので、視覚内に収まるように縮小します。ネズミはゾウと比べたら小さすぎるので、拡大します。そうしたほうが、記憶に残りやすいのです。
また、誇張したり、デフォルメしたり、理屈にあわないものが記憶に残りやすい、という特徴もあります。「どうして？」「なぜ？」と思考が働きやすいからです。
テレビの宣伝で注目度の高かったのが、トヨタ自動車のダンシング・ベイビーでした。無表情で外国人の赤ん坊がおしりを振りながらダンスを踊っています。その動きが更に記憶に残ります。同じ赤ん坊がたくさん踊っています。数が多いので、ちょうどクローン人間のような異様さも感じさせます。

映画館で映画を見ていると、視界いっぱいにスクリーンに写し出された映像が広がって見えます。
時々、自分のほうに恐ろしい動物が迫ってきたり、武器が飛んできたりし、心臓がドキッとするほどの迫力です。
このように、動きがあるほうが、静止しているものよりも記憶に残りやすい、という特徴もあります。

色彩心理学では、色は私たちの心に様々の影響を与えます。そのためにポスターやデザイン、テレビのコマーシャルなどでは、大変な広告費が使われています。1回だけでは、なかなか記憶に残らないので、5～10回と宣伝を繰り返します。そうすると私たちの長期記憶の中に刻まれていきます。
このように、宣伝では、色は重要な役割を果たしています。ですから、カラー・コーディネーターのように色を専門職にする人達も、新たな業種として生まれてきました。