第十二回 「脳は、忘れるようにできている」
橘先生「人間の脳っていうのは、実は、忘れるようにできてるんですよ」
永田「容量が少ないからですか?」
橘先生「例えば、興味のあるものが、短期記憶に入ります。興味のないものも全部、記憶に入って行ったら、大変ですよね」
永田「あー…… そうですね」
橘先生「そういうふうに、自由にシャットアウトできるわけです。
非常に暴力的なシーンとか、色んなものがテレビをつけたら出ていて、それが頭の中に入ってきて、こびりついてしまったら怖いですね、やっぱり。
ですから、それはシャットアウトすれば良いわけですね」
永田「その時、脳の中ではどう判別していくわけですか? 『要る・要らない』を」
橘先生「『偏頭体』のところで。興味のあるものは通り、ないものは忘却のほうへ行くわけです。
偏頭体を通ったものは、短期記憶ですけども、人間の記憶というのは、一回で覚えるようにはなっていないんですよ」
永田「そうですね。試験勉強なんかでも、何度も書きだして覚えたりしますね」
橘先生「人間の記憶というのは基本的に、一回では覚えられないようになっているんです。
一回で覚える人というのは、たまにいます。もし、一回で覚えるようになったとしたら、不幸なことが起こってきます」
永田「不幸なこと、というのは?」
橘先生「一日に見ている情報、例えば、家から教室まで来ている間というのは、もの凄い情報の分量があるんですよ。
二・三日もそういったことを続けて、全部を情報として入れてしまったとしたら、メモリーをなくしてしまうんです。脳のメモリーをね」
永田「電車の窓から見ている景色や、耳から入った駅のアナウンスなんかを、情報としてすべて記憶に貯めてしまうわけですね」
橘先生「もの凄いメモリーになってしまいます。
ですからパンクしてしまいますので、人間というのは基本的に、一回で覚えるふうにはできていないんですよね」
うーん受験なんかでは、一回で覚えられるとありがたいなぁ、と思いますけど。その場限りで良い情報――例えば駅のアナウンスなど――も、あるわけですから。
余計な情報が多すぎて、肝心なところでフリーズするのは、困りますね。
橘先生「興味を持ったものを、くり返していくことによって、覚えていく。イメージ力が強くなると、覚えるのが早くなっていく。
人間の脳っていうのは、そういうふうになっているんです」
脳と記憶術、少しずつ整理できてきた気がします。
次回はもう少し詳しい、脳のメモリーについてお話をうかがっていきます。
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