速読の真実 レイナ―教授の報告は真実か ③
ワーキングメモリーの容量不足の解決策として、SP速読学院では、ワーキングメモリーを効率よく使う方法を提示しています。ワーキングメモリーは頭の中で情報処理を行う部位です。
認知心理学ではワーキングメモリーの容量は7±2チャンクと言われています。電話番号(7ケタ)程度の情報を一回で覚えられます。読書時には複雑な処理を行う為、4±1チャンクまで減ってしまいます。そのため読んだ内容が記憶に残らなかったり、理解が繋がらずに返り読みをすることになります。脳がワーキングメモリーの容量不足でフリーズしているのです。
※チャンク:意味のまとまりの単位です。
その解決法として自動化処理があります。自動化の例は九九の計算や通訳の訳などです。これらは考えずに無意識で自動的に処理しています。自動的処理は「速く正確で努力がいらない」のです。これは脳のシナプスが可塑性という変化を起こし、スイッチが入り神経細胞に一瞬で繋がるためです。
「目を動かす」「音声化処理」「心内辞書の単語再認処理」「文法的処理」が自動化すると、理解や記憶、思考にまで脳のメモリーを振り分けることができます。そうなると、すらすらと速く読んで理解できます。
※心内辞書:頭の中で辞書的な役割を果たしている部位。
ワーキングメモリーを効率化させるもう一つの方法は、チャンキング(固まりとして処理)することです。これにより、容量を増やすことも出来ます。
数字を覚える時に凡人は電話番号約7桁を1回で覚えます。世界記憶力選手権のスピードナンバーの競技では、1000桁の数字を、5分で何桁まで覚えられるかを競います。現在の世界記録は520桁です。選手は数字イメージ連想法や場所法を使い、チャンキングして脳の容量を増やす技術を用いています。
チャンキングが出来ると、1ページ(約500文字)を100回の目の凝視(1目5文字)で読んでいた人が、1目20文字で読めると25回の凝視で済みます。これにより100チャンクのメモリーが25チャンクになります。残りの75チャンクのメモリーが節約されるのです。余った容量は理解や記憶や思考、スピードアップに振り分けられ、理解や記憶を保ち、速読が可能になるのです。