「やまなし Part.2 宮沢賢治」
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波から来る光のあみが、底の白い岩の上で、美しくゆらゆらのびたり縮んだりしました。あわや小さなごみからは、まっすぐなかげの棒が、ななめに水の中に並んで立ちました。
魚が、今度はそこらじゅうの黄金の光をまるつきりくちやくちやにして、おまけに自分は鉄いろに変に底光りして、また上の方へ上りました。
「お魚は、なぜああ行ったり来たりするの。」
弟のかにが、まぶしそうに目を動かしながらたずねました。
「何か悪いことをしてるんだよ。取ってるんだよ。」
「取ってるの。」
「うん。」
そのお魚が、また上からもどってきました。今度はゆっくり落ち着いて、ひれも尾も動かさず、ただ水にだけ流されながら、お口を輪のように円くしてやって来ました。そのかげは黒く静かに底の光のあみの上をすべりました。
「お魚は……。」
その時です。にわかに天井に白いあわがたって、青光りのまるでぎらぎらする鉄砲だまのやうなものが、いきなり飛びこんできました。
兄さんのかには、はっきりとその青いものの先が、コンパスのように黒くとがっているのも見ました。と思ううちに、魚の白い腹がぎらっと光って一ぺんひるがえり、上の方へ上ったようでしたが、それっきりもう青いものも魚の形も見えず、光の黄金のあみはゆらゆらゆれ、あわはつぶつぶ流れました。
二ひきはまるで声も出ず、居すくまってしまいました。
お父さんのかにが出てきました。
魚が、今度はそこらじゅうの黄金の光をまるつきりくちやくちやにして、おまけに自分は鉄いろに変に底光りして、また上の方へ上りました。
「お魚は、なぜああ行ったり来たりするの。」
弟のかにが、まぶしそうに目を動かしながらたずねました。
「何か悪いことをしてるんだよ。取ってるんだよ。」
「取ってるの。」
「うん。」
そのお魚が、また上からもどってきました。今度はゆっくり落ち着いて、ひれも尾も動かさず、ただ水にだけ流されながら、お口を輪のように円くしてやって来ました。そのかげは黒く静かに底の光のあみの上をすべりました。
「お魚は……。」
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お疲れ様でした。
文章の内容を覚えてしまった場合、正しい数値が計測できない場合があります。
その場合はトレーニング一覧ページより「読書スピード計測(各種文章)」より正しい数値を計測しましょう。
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