読書スピード計測


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　もっとも伊豆箱根鉄道の線路は大仁＝修善寺間が大きく〝つ〟の字状に屈曲しているので、伊豆署＝新井旅館は直線距離にすれば二・五キロ程度のものに過ぎない。
　国道一三六号線のバイパスである全長四・八キロの修善寺道路を抜けてくれば、ほぼ最短距離を来ることができる。
　真っ先に駆けつけた刑事は、いずれもこういった事件に遭遇するのは初めてだと見え、何をどう動いたら分からない様子で何とも心許ない。
　本当なら《伊豆の踊子》からのメールが入る帳場のパソコンもチェックしたいところだろうが、どこに犯人の目が光っているか分からないとなれば迂闊に帳場付近に顔を出すこともできないで、遠慮している。
　桂子の顔を見て「何かありましたか？」と尋ねたので、受信したばかりのメールの内容を伝えると、それを待っていたようなタイミングで充電中の携帯電話の着メロが鳴り響いた。
　刑事が急いで取り上げ、ディスプレーのメールをチェックする。
「身代金一億円の手配はついたか、だと。畜生め、やっぱり、こいつは外国のプロバイダーを経由してやがる。逆探知の方法がないぞ」
　憤慨しつつ刑事は吉野の間に移動し、桂子もそれに続いた。

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