読書スピード計測


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「伊豆長岡駅までは渋滞していないのかね」
「もちろん渋滞していますが、畑の間を縫っていく抜け道を利用しますから大丈夫です」
　稲村社長が手を振って合図すると、ボディに蔵屋鳴沢と大書されたマイクロバスが大駐車場の隅から走り出してきて、一行の前に停まった。
　これなら、いかにも蔵屋鳴沢の利用客をサービスで駅まで送り届けるように見える。
　佐竹以下の警察一行十人が乗り込むと女性従業員がハンドルを握ったマイクロバスは慎重に走り出した。
　何の気なしにメーカーを見ると三菱自動車製で、まさか走行中に突然エンジンが火を噴いたりしないだろうな、と佐竹は、またしても胃が痛くなるような不吉な予感に取り憑かれた。
　しかし、幸いなことに何も起きず、マイクロバスは韮山名物の苺を栽培する大きな温室が建ち並ぶ畑の畦道を走り、いっさい表通りを通らずに五分間の走行で伊豆長岡駅のすぐ脇に到着した。
「ご苦労様でございます。お気をつけて」と見送る女性従業員に礼を言って一行は伊豆長岡駅の出札口に向かった。

読書スピード計測


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