読書スピード計測


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「指紋よりは足跡が鍵になるかも知れません。犯人の足跡が、ひょっとして裏玄関付近に残っていないとも限りませんので、伊豆署の者が到着するまで、付近には誰も近寄らせないように、ご配慮をお願いします」
「承知いたしました。そのように当館の者に厳しく申しつけておきます」
　事件が事件で、かなり動揺もしているだろうに、そういった徴候は全く感じさせず、涼やかな美声で確約して桂子は電話を切った。
　この直後に佐竹が思いついたのが県警刑事部捜査一課の新人でアイドル刑事の渾名を持つ村嶋なつみのことだった。
　なつみを桂子になりすまさせることは不可能だが、妹役なら演じさせられるだろう。テレビで見た桂子と、どことなく似ていないでもない。
　現金一億円は女手一人で運ぶには少し重すぎる。それを誘拐犯人に対しての口実にできそうだと佐竹は考えた。
　そうこうしている間に刑事たちも揃い、ヘリ出発の準備も整った。
　後は蔵屋鳴沢に駐車場を着陸地として借り受ける交渉の電話をかけるだけである。

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