読書スピード計測


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　こうして、皇帝は、りっぱな天がいの下を、行列を従えてお歩きになりました。通りの人も、窓にいる人も、みんな口をそろえて言いました。
　「これは、これは！皇帝の新しい着物は、まったく申し分がないぞ。お服についているもすその、なんとりっぱなこと！なんとぴったりじゃないか。」
　だれ一人、何も見えないなどと、人に気づかれたくありませんでした。さもないと、その人は、自分の役目に向いてないか、あるいは、おろか者だということになりますから。皇帝の数多い着物のうちで、これほど評判のよいものはありませんでした。
　「だけど、なんにも着てやしないよ。」
　と、そのとき、一人の小さな子どもがいいました。
　「これは、これは！罪のない子どもの言うことときたら。」
　と、その子の父親が言いました。それでも、子どもの言った言葉が、それからそれへと、ひそひそ伝わっていきました。
　「なんにも着ていらっしゃらないんだ。小さな子どもが、なんにも着ていないって言ってるよ。」
　「なんにも着てやしないんだ。」
　とうとうしまいに、みんなが、こうさけびました。そのさけびは、皇帝の心の中にもしのびこんできました。なぜなら、みんなの言うほうが本当のように思われたからです。けれども、「今さら行列はやめるわけにはいかない。」と、考え直されました。そこで、皇帝は、いっそういげんをはりました。そして、侍従たちは、ありもしない着物のもすそをささげて進みましたとさ。

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