読書スピード計測


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　さて、ペテン師どもは、織るのに必要だからといって、前よりたくさんのお金と絹糸と純金とを願い出ました。そして、それはみんな、自分たちのふくろの中へ入れてしまって、はたの上には、一筋の糸も張られませんでした。それでも二人は、今までどおり、空のはたに向かって織り続けました。
　皇帝は、間もなく、今度は、別の正直者の役人をおつかわしになって、仕事はどのくらいはかどったか、織り物もうじきできあがるだろうか、様子を見させることにしました。この役人も、大臣と同じことでした。何度も何度も見ましたけれども、元々、空のはたのほかには何もないのですから、何も見えるはずはありません。
　「いかがでしょう、美しい布地ではございませんか。」
　と、二人のペテン師は言って、ありもしない美しいがらを、指差して説明するのでした。
　「まさか、わしが、ばかだなんてことはないが。」
　と、この人は考えました。
　「してみると、今のけっこうなお役目に、このわしが向いとらんというのか？なんともおかしなことだ。だが、ここはひとつ、人に気づかれんようにせにゃならんぞ。」
　そこで、見えもしない織り物をほめました。そして、きれいな色合いや、美しいがらには、満足のほかはないと受け合いました。そして、皇帝には、
　「はい、まことに、このうえない、見事なものでございます。」
　と申し上げました。
　このころ、町は、このすばらしい織り者のうわさでもちきりでした。

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