読書スピード計測


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勇ましい、底カのある声である。
しばらくすると木精が答えた。大きい大きい声である。山々に響き谷々に響く。
空にそびえている山々の頂は、この時鮮やかな紅に染まる。そしてあちこちにあるモミの木立は次第に濃くなるねずみ色に浸されていく。
七人の知らぬ子供たちは皆じいっとして木精の尻声がかすかになって消えてしまうまで聞いている。どの子の頗にも喜びの色が輝いている。その色は生の色である。
群れを離れてやはりじいっとして聞いているフランツが顔にも喜びがひらめいた。それは木精の死なないことを知ったからである。
フランツは何と思ってか、そのままきびすを巡らして自分の住んでいる村の方へ帰った。
歩きながらフランツはこんなことを考えた。あの子供たちはどこから来たのだろう。 麓の方に新しい村ができて、遺い国から海を渡って来た人たちがそこに住んでいると いうことだ。あれは大方その村の子供たちだろう。あれが呼ぶハルローには木精が答える。自分のハルローに答えないので、木精が死んだと思ったのは、間違いであった。木精は死なない。しかしもう自分は呼ぶことはよそう。今度呼んでみたら、答えるかもしれないが、もうよそう。
闇が次第に低いところから高いところへ昇っていって、山々の頂は最後の光を見せて、とうとう闇に包まれてしまった。村の家にちらほら灯火がつき始めた。

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