読書スピード計測


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しぱらくしてフランツは何か思いついたというようなふうで、「木精は死んだのだ。」とつぶやいた。そしてぼんやり自分の住んでいる村の方へ引き返した。
同じ日のタ方であった。フランツはどうも木精のことが気にかかってならないのでまた例の岩のところへ出かけた。
この日、ちょうど昼過ぎからごく軽い風が吹いて、高いところにも低いところにも団がっていた雲が少しずつ動きだした。そして銀色に光る山の頂が一つ見え二つ見えてきた。フランツが二度目に出かけた頃には、頂という頂が、藍色に晴れ渡った空にはっきりと推かれていた。そして断崖になって、山の骨のむき出されている辺りは、 紫を帯びた紅に匂うのである。
フランツが例の岩のところに近づくと、たちまち木精の声がにぎやかに聞こえた。 小さい時から聞き慣れた、大きい、鈍い、コントルバスのような木精の声である。
フランツは「おや、木精だ。」と、覚えず耳をそばだてた。
そして何を考えるひまもなく駆け出した。例の岩のところに子供の集まっているのが見える。子供は七人である。皆ブリュネットな髪をしている。血色のよい丈夫そうな子供である。
フランツはついに見たことのない子供の群れを見て、気兼ねをして立ち止まった。
子供たちは皆じいっとして木精を聞いていたのであるが、木精の声がやんでしまうとまた声をそろえてハルローと呼んだ。

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