「「永日小品」より 蛇 Part.3 夏目漱石 」
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二人は雨の音の中にじっとして、まともに押してくる渦のかっこうを眺めていた。魚がこの渦の下を、貴王の池から流されて通るに違いない。うまくかかれば大きなのが獲れると、一心に凄い水の色を見つめていた。水はもとより濁っている。上皮の動くぐあいだけで、どんなものが、水の底を流れるか全く分りかねる。それでもまばたきもせずに、水際まで浸った叔父さんの手首の動くのを待っていた。けれどもそれがなかなかに動かない。
雨脚はしだいに黒くなる。川の色はだんだん重くなる。渦の紋は劇しく水上から巡って来る。この時どす黒い波が鋭く眼の前を通り過そうとする中に、ちらりと色の変った模様が見えた。まばたきを許さぬとっさの光を受けたその模様には長さの感じがあった。これは大きな鰻だなと思った。
途端に流れに逆らって、網の柄を握っていた叔父さんの右の手首が、蓑の下から肩の上まで跳ね返るように動いた。続いて長いものが叔父さんの手を離れた。それが暗い雨の降りしきる中に、重たい縄のような曲線を描いて、向こうの土手の上に落ちた。と思うと、草の中からむくりと鎌首を一尺ばかりもち上げた。そうしてもち上げたままきっと二人を見た。
「覚えていろ」
声はたしかに叔父さんの声であった。同時に鎌首は草の中に消えた。叔父さんは蒼い顔をして、蛇を投げた所を見ている。
「叔父さん、今、覚えていろと言ったのはあなたですか」
叔父さんはようやくこっちを向いた。そうして低い声で、だれだかよく分らないと答えた。今でも叔父にこの話をするたびに、だれだかよく分らないと答えては妙な顔をする。
雨脚はしだいに黒くなる。川の色はだんだん重くなる。渦の紋は劇しく水上から巡って来る。この時どす黒い波が鋭く眼の前を通り過そうとする中に、ちらりと色の変った模様が見えた。まばたきを許さぬとっさの光を受けたその模様には長さの感じがあった。これは大きな鰻だなと思った。
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