読書スピード計測


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　「命にかかわるとなったら、だれがのんきにしていられるかね。僕は、年は年で、歯が鈍くなり、ねずみを追っかけまわすより、ストーブの後ろにしゃがんで、のどをゴロゴロ鳴らしていたほうがいいんでね。うちのおかみさんは、僕を水に突っ込んで、おぼれ死にさせようとしたんだ。もっとも、逃げてはみたものの、どこへ行ったらいいか、いい知恵もなかなか出ないというわけさ。」
　「一緒にブレーメンに行こう。きみは、セレナーデがうまいじゃないか。町の楽隊に入れるよ。」
　猫は、それはうまいと思い、一緒に行きました。そのあと、三匹の逃げ出し組が、あるお屋敷の前を通りかかると、門の上におんどりが止まって、力いっぱい鳴いていました。
　「きみは、人の骨の髄までしみ込むように鳴いているが、どういうつもりなんだね？」
　と、ろばは言いました。
　「天気がいいって予報したんだよ。今日は聖母様の日で、聖母様が、幼いキリスト様の肌着を洗って、乾かそうとなさる日だからね。ところが、明日の日曜日にはお客が来るんで、おかみさんは情け容赦もなく、お手伝いに、明日は僕をスープにして食べるって言いつけたんだよ。それで僕は、今晩首を切られるわけさ。そこで、鳴ける間は、のどが裂けるまで鳴くんだよ。」
　と、おんどりは言いました。
　「おや、何を言うんだい。赤頭くん。それよりか、僕たちと一緒に来たまえ。僕たちは、ブレーメンに行くんだ。どこに行ったって、死ぬよりはましなことがあるさ。きみは、いい声をしている。一緒に音楽をやったら、いっぷう変わったのができるにちがいない。」
　と、ろばは言いました。

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