「アンデルセン童話集より、マッチ売りの少女」
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それは、ひどく寒いおおみそかの夜のことでした。あたりはもうまっくらで、こんこんと雪が降っていました。
寒い夜の中、みすぼらしい一人の少女が歩いていました。ボウシもかぶらず、
はだしでしたが、どこへ行くというわけでもありません。行くあてがないのです。
ほんとうは家を出るときに一足の木ぐつをはいていました。
でも、サイズが大きくぶかぶかで、役に立ちませんでした。
実はお母さんのものだったので無理もありません。
道路をわたるときに、二台の馬車がとんでもない速さで走ってきたのです。
少女は馬車をよけようとして、木ぐつをなくしてしまいました。
木ぐつの片方は見つかりませんでした。
もう片方は若者がすばやくひろって、「子供ができたときに、ゆりかごの代わりになる。」と言って、持ちさってしまいました。
だから少女はその小さなあんよに何もはかないままでした。
あんよは寒さのために赤くはれて、青じんでいます。
少女の古びたエプロンの中にはたくさんのマッチが入っています。
手の中にも一箱持っていました。
一日中売り歩いても、買ってくれる人も、一枚の銅貨すらくれる人もいませんでした。
少女はおなかがへりました。寒さにぶるぶるふるえながらゆっくり歩いていました。
それはみすぼらしいと言うよりも、あわれでした。
少女の肩でカールしている長い金色のかみの毛に、雪のかけらがぴゅう
寒い夜の中、みすぼらしい一人の少女が歩いていました。ボウシもかぶらず、
はだしでしたが、どこへ行くというわけでもありません。行くあてがないのです。
ほんとうは家を出るときに一足の木ぐつをはいていました。
でも、サイズが大きくぶかぶかで、役に立ちませんでした。
実はお母さんのものだったので無理もありません。
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