読書スピード計測


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入り口の男はマッチを撮って、葉巻に火をつけた。すると明かりの中に、目つきの鋭い、右の眉毛の近くに小さい白い傷跡のある、四角な青白い顔が浮かび上がった。 ネクタイピンは、おかしなかっこうの台に載った、大きなダイヤモンドだった。
「二十年前の今夜」と男は言った、「その＜のっぽ＞のジョウ=ブレイディの店で、ジミー=ウェルズと食事したんですよ。私のいちばんの仲良しで、世界一気のいい男ですがね。そいつと私は、このニューヨークで、ほんとの兄弟のように一緒に育ったんです。私は十八、ジミーは二十でした。一夜明ければ私がひと旗揚げに西部にたつという晩でした。ジミーのやつはてこでもニューヨークを離れようとしなかったんです。ニューヨークぐらい、いい所はないと思ってましてね。それで、その晩約束したんですよ、どんな境遇だろうと、 どんな遠くに住んでいようと、この日この時刻からきっかり二十年後に、ここで再会しよう、と。二十年したら、どちらも運が開けて、金持ちに、どんな金持ちにでも、 なっているに違いない、と思ったわけですよ。」
「それはなかなかおもしろそうな話だ」と警官は言った。「だが二十年とは少し間があり過ぎるようだな。君が出かけてから、友達から便りはなかったのかね?」
「ええ、ま、しばらくはありましたよ」と相手は言った。

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