速読ブックレビュー『自分の中に毒を持て』②
飯田インストラクター書評『自分の中に毒を持て』
岡本 太郎(著)
218ページ
瞬間瞬間を生きているか。ほんとうの自分を貫いているか。
「才能なんて勝手にしやがれだ」「ダメ人間なら、そのマイナスに賭けてみろ」
今も鋭く問いかける、生涯芸術家岡本太郎からのメッセージ。亡くなる3年前に書き残した文庫本の新装版。
【読書の所要時間】 40分(精読~熟読で1回)
今回は新刊で中々読みたいと思えるものに出会えなかったが、力強いオーラを放っていた(私には確かにそう感じた。)本書に惹きつけられた。
本書は自分勝手な生き方ができなくなった自分にとって少し耳が痛い、そしてまた発奮材料にもなる最高の自己啓発本である。
岡本太郎氏といえば日本を代表する芸術家の一人でちょっと… いやかなりキレている人という印象。
「…あらゆる問題について発言し、全身をぶつけて「ノー」と言った。…(中略)あらゆる面で権威主義にたてつき、いわば常識を超えて、人の言わないことをあえて言い、挑んだ。」
「人間にとって成功とは何だろう。結局のところ夢に向かってどれだけ挑んだか、努力したかどうか、ではないだろうか。」
いわゆるKYの正反対だ。とことん自分が正しいと思ったことを主張し、そして自分の限界を決めない。金・名声を追ったりこびたりもしない。
とにかく挑みかかるように、常識・社会・権威と闘っている。
「ただ僕はありのままの自分を貫くしかないと覚悟を決めている。それは己自身こそ最大の敵として、容赦なく闘い続けることなんだ。」
社会、権威に反抗するのが目的ではなく、彼はは自分自身と闘っていた。彼は人間の弱さを承知の上でそれを乗り越える、自分を崖から落とすような行動を選択していた。
「ぼくと同じだめになる方、マイナスのほうの道を選ぼう、と決意してみるといい。そうすれば、必ず自分自身がワァーともりあがってくるにちがいない。それが生きるパッションなんだ。」
そしてそうすることによって人生が充実する。彼はそれを幸福とは言わず「歓喜」と呼んだ。
彼はきっと多くの時間を意図的に死と対峙するようにしていたと思う。
死と対面して生きることを実感するように、彼は死=だめになる方、マイナスの道を選ぶことで生きる力がグッと沸く、そんな感覚を持ち続けようとしていたのではないか。
それが生きているという実感、ありのままの自分自身であるという実感になる。その行動に結びつくのは覚悟の問題であって才能とか生まれではない、ということ。
これは非常に納得。もう納得するしかない。
しかしできるかな… わかっていても多くの人が実行するのが益々難しい現代になってきている。
でもだからこそ自分自身への挑戦、あきらめたくないですよね。
(飯田インストラクター 2013年5月)