速読書評『戦後史の正体』
飯田インストラクター書評『戦後史の正体』
孫崎 享 (著)
400ページ
日本の戦後史は、アメリカからの圧力を前提に考察しなければ、その本質が見えてこない。元外務省・国際情報局長という日本のインテリジェンス(諜報)部門のトップで、「日本の外務省が生んだ唯一の国家戦略家」と呼ばれる著者が、これまでのタブーを破り、日米関係と戦後70年の真実について語る。
【読書の所要時間】 1回目 1時間30分(精読) 2回目 20分(熟読、数か所のみ)
政治というジャンルに弱い僕は自分の無知さ加減を年々恥ずかしく思うようになっていた。
そしてそんな事情もあってか、戦後史に興味はなかったものの、直感で手に取ったのはこの本。
一読すれば、あらゆる政治経済の情報に対し「日米関係」という物差しが与えられる為、新聞ニュースに隠れた文脈を想像することができる。
その日米関係とは「対米追随路線」と「自主路線」の二つで示されている。これが非常にわかりやすい。
歴代の首相に対するマスなイメージが覆されると共に、よくわからないゴタゴタが続く日本の政界が戦後から非常にクリアに見えるようになる。
そして悲しいかな、ここにも利他の精神を持ち、勇気ある行動をとったものが排除される歴史が繰り返されている。
政治家たるものが国の将来より自己の保身に走るなんて許せない、と非難するのは簡単。
もし自分がその状況に置かれたらどんな態度をとっていただろうか? そんな事を想像してみる。
この本を読んだ後に、非常に生々しい人間の本性が、清い面も汚い面も「なんとなく知っていた歴史」から浮かび上がってくることは間違いない。
そして月並みだがやっぱり僕らは選挙に行くべきだ。
「知らない・興味ない」ことで都合がいいのは国民ではなく、この国の権益を享受する一部の利得者、そしてそこへ多大なる影響を及ぼしているあの国ではなかろうか。
(飯田インストラクター 2012年11月)
https://www.pc-sokudoku.co.jp/review/tokyo01.html