大林インストラクター書評『29歳の誕生日、あと1年で死のうと決めた。』
葉山 アマリ (著)
221ページ
彼女には絶望しかなかった。派遣切り、親の介護、婚約破棄。
どうせ死ぬのなら、すべて失ってもかまわないと思った。
日本感動大賞大賞作品。“元気のでるノンフィクション”。
【読書の所要時間】 1時間(熟読で1回)
失恋、父の病を経て、派遣社員として働き金銭的にも厳しい日々を過ごす主人公。29歳の誕生日に将来を悲観し、あと1年後にラスベガスで賭けをしてから死のうと決断する。その決断から、彼女の人生は別の方向に動き出す。先ずラスベガスで大勝負するためには資金が必要と考え派遣社員の仕事に加え夜はホステスとして銀座で働き始める。他にも、ヌードモデルになったりクラブに行って外国人の友人を作ったり、残り1年の人生だからと何にでも挑戦していく。本の最後の方は人生を賭けた「ラスベガスをぶっつぶせ」のようになっていくので、男性でも読んでいて楽しいのではないか。
自殺しなくても人間は死ぬ。人生は有限であると感じ続けることが出来れば、この主人公でなくとも様々なことに挑戦し充実した時間を過ごすことが出来るのではないだろうか。人生を豊かにするものは案外近くにあり、手を伸ばしさえすれば掴めるのではないかと感じさせてくれる本。
(大林インストラクター 2012年11月)