速読書評『思考の整理学』
木野インストラクター書評『思考の整理学』
外山 滋比古 (著)
223ページ
アイディアが軽やかに離陸し、思考がのびのびと大空を駆けるには?
自らの体験に則し、独自の思考のエッセンスを明快に開陳する、恰好の入門書。
【読書の所要時間】 1時間(熟読で1回)
書店にて「東大生、京大生内で五年間販売冊数第1位!」という見出しで売り出されていたのでふと購入してみました。さて、著者の外山滋比古氏、様々な所で目にするお名前ですが恥ずかしながら著書を読んだ事がなく…、というかなぜか舛添要一さんと同一人物だと思ってました! 恥ずかしい! 全然違うし!
ですが結果から言うと「本当に読んでよかった」です。そもそもこのニュートラルなスタンスが凄い。いや、僕上から目線の本や小難しい本大嫌いなんで(自分にとって)やさしい本ばかりを読んできたつもりなんですが、それはあくまで単語や語り口といった程度の非常に浅はかな「やさしい」でした。外山氏の文章は確かにプロフィールにあるように「平明で、論理的」なのですが読めば読むほど分かるように読者と同じ目線なんです。本当に友達と話しているような。もちろん経験・知識共に自分のような凡人とは並はずれているはずなのですがいい意味で差を感じないです。仲が良くて信頼している友人に「ちょっと面白い事思いついたんだけど聞いてもらっていい?」と言われているような感覚です。
正直この距離感は初めてです。だからこそすごく入ってきやすい。むしろ読んでいく中で今までの知識を率先して活用できるギリギリのラインです。雑学本でもないのに読み進める毎に「なるほど!」の連発。でもあくまで「才能関係ないし、できる事からやってみ。とりあえず僕はこういう考えでやってるんだけど…」のスタンスは崩れませんし好感は増すばかりです。
なぜこの本が東大生や京大生の中で売れているかも納得ですがあくまでそれは単なる事実であり様々な人が様々な読み方のできる本です。
文系観点理系観点がバランス良く含まれていますし実は情報量が多いので一度さらっと読んでからの熟読がおすすめ、というか思考の様々な局面におけるヒントをもたらしてくれる為いわゆる愛読書候補です。早い時点で「勝ち組」「負け組」を他人から決めつけられたり何かと結果を急がされる現代社会において癒し効果も多分にある良書です。気に入った方はぜひ何回も読みましょう。
(木野インストラクター 2013年4月)